腹部エコーとは
腹部エコー検査は、エコー検査機器からでる反射波(エコー)を使って臓器や血液の流れなどの状態を確認することができる検査です。検査はお腹に直接プローブという装置を当てて画面上に臓器を映し出し検査をしていきます。腹部エコー検査では、主に肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・腎臓・腹部大動脈・前立腺・子宮・卵巣・消化管などに異常な所見が無いかどうかを観察します。エコー検査を行い消化器系で発見されるご病気としては、脂肪肝・肝硬変・肝癌・胆石・胆嚢癌・胆嚢ポリープ・胆嚢腺筋腫症・膵癌・膵嚢胞などがあります。腹部エコー検査で発見された所見によっては、精密検査が必要となることがあります。検診や人間ドックの腹部エコー検査で異常と指摘された方でお困りの際は、一度専門外来でご相談ください。
腹部エコーの特徴
特徴①様々な臓器や疾患を観察・診断をすることが可能
- 肝臓
- すい臓
- 脾臓
- 腎臓
上記をはじめとした臓器を観察し、診断することができます。器質的な異常であれば、発見し原因を特定することが可能な検査です。
特徴②身体的負担が軽く済む
エコー検査の大きな特徴として、所要時間が非常に短いことが挙げられます。長くても10分程度しかかからず、身体への負担もほとんどありません。実際に検査を行う際には寝ている状態で、腹部にプローブと呼ばれる機器を押しあてるだけで完了します。痛みも苦しさも感じることなく簡単に受けていただくことができます。
特徴③安全性が保証されている
レントゲン検査などの被爆のリスクがある検査と異なり、腹部エコーは被爆することがありません。放射線が気になる方も、安心して検査を受けていただくことができます。
特徴④検査精度が医師の技量に依存している
検査を執り行う医師の経験や技術により、エコー検査の正確性は大きく変わります。腹部エコー検査を受けることをご検討中の方は、実績のある医師が在籍している病院・クリニックで受けていただくことをお勧めいたします。
特徴⑤体内の状態に検査精度が左右される
例えば、腸内にガスや便が溜まってしまっていると、画像の質が低下することで検査の正確性が落ちてしまいます。反対に尿が溜まっている状態の膀胱や前立腺は画像の質が向上して、検査の正確性が上がります。腹部エコー検査は、その時の体内環境によって結果が変わってしまうという特徴を持っています。
当院の腹部エコーの強み
経験豊富な超音波検査士によるエコー検査
当院の腹部エコー検査は、熟練した超音波検査士によって検査が行われています。エコー検査でより精密な検査や治療が必要と診断された場合には当院の医師が検査・治療を行っている連携病院へご紹介することができます。
最新の腹部エコーを導入
Canon社製Aplio a/Verifiaを導入しています。Verifiaは超音波のノイズ低減とMulti-Harmonic Compoundingによってクリアな画像が得られます。健康診断などで肝機能が「異常所見」「要精密検査」「肝機能異常」などの診断をされた方で精密検査をご希望される方は、お気軽にご相談ください。
連携病院での超音波内視鏡検査
腹部エコー検査でより精密な検査が必要な場合には連携病院にて特殊内視鏡検査である超音波内視鏡検査をすることが可能です。超音波内視鏡検査は、膵臓・胆道といったCTやMRIでの評価も難しい臓器に対しても詳細な観察が可能です。疾患のより早期の拾い上げに寄与する検査です。
腹部エコーを推奨する方
- 検診で腹部エコー検査異常を指摘され再度検査を勧められた方
- 血液検査異常(肝機能、脂質、その他など)がある方
- 尿検査異常(尿潜血、尿タンパクなど) がある方
- 常習飲酒家(1日3合を5年以上)
※1合の目安 ビール500ml、日本酒180ml、焼酎100ml、ウイスキー60ml、ワイン200ml - 血便、黒色便、白色便がある方
- 下痢や便秘がある方
- 腹部の痛みや違和感(みぞおち、背中、腰、下腹部など) がある方
- 夜間にトイレに起きる(頻尿)など前立腺に不安がある方
- 血尿や排尿時に痛みがある方
- 腹部の拍動感、お腹の張り、腰痛がある方
腹部エコーでわかること
肝臓 |
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胆のう |
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膵臓 |
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腎臓 |
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脾臓 |
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腹部大動脈 |
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前立腺 |
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子宮 |
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卵巣 |
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膀胱 |
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消化器領域 |
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腹部エコー検査では、臓器ごとに下記疾患の診断に寄与します。
腹部エコー検査と内視鏡検査の違い
最も大きな違いとしては、「空気」に影響をされるかどうかです。腹部エコー検査は、前述したようにガスなどの空気が存在してしまっていると、超音波が届かず検査が正確にできなくなります。従って、胃や腸などの空気が存在してしまう臓器は、腹部エコー検査は適していないということになります。要するに、肝臓や腎臓といった内部に空気が存在していない臓器を専門としているのが腹部エコー検査です。
内視鏡検査はその逆で、空気が存在していても問題が無く、胃や腸を専門として直接観察をします。空気に邪魔されることなく医師の目で病変を見つけることができますので、確定診断を行うことが可能です。しかし、カメラを入れることが出来ない肝臓や腎臓などは適していません。つまり、二つの検査を実施して初めて腹部をしっかりと画像で検査したことになるのです。
腹部超音波エコー検査の流れと注意点
1ベッドで仰向けに寝転んでいただきます。
2おなかに検査用のゼリーを塗ります。
このゼリーは腹部エコーが苦手としている、検査機器と皮膚の間の空気を無くすことが目的です。
3ゼリーを塗った部分に機器(プローブ)を押し当てて検査を開始します。
4プローブをあてた部分が画像として撮影されます。撮影した画像を医師が確認し、診断をします。
注意点①検査中の呼吸の仕方に関して
検査を行っている際に、医師から「息を吸って、吐いて」というような呼吸の仕方の指示がされるケースがあります。これは、目的の臓器を見えやすい位置にずらしたり、ガスの影響を超音波が受けにくくすることで検査精度を向上させようとしての指示となります。検査を実施するうえで、正確な診断をするためにも重要なことになりますので、指示があった場合はその指示に従ってください。
注意点②検査を受けるまでの食事に関して
体内にガスや便などの固形物がある状態では腹部エコー検査は画像の質が低下し、それに伴って検査精度も落ちてしまいます。検査の精度を向上させて正確な診断を得るためにも、検査前は「絶食」していただくようにお願いしております。
腹部エコー前後の過ごし方について
午前に検査を受ける方へ
当日の朝食は食べずにおこしください。ただしお水・お茶は飲んでもかまいません。
午後に検査を受ける方へ
当日の朝食は午前8時までに済ませ、卵・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品やバター類は、取らないでください。昼食は食べずにおこしください。ただしお水・お茶は飲んでもかまいません。
トイレについて
腎臓・膀胱・前立腺・子宮・卵巣の検査がある場合、お小水が膀胱にたまった状態で検査をしますので、無理のない範囲で我慢をお願いします。難しい場合はスタッフにお知らせください。
腹部エコーの費用
保険診療の場合
保険診療 | 1割負担 | 3割負担 |
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腹部超音波検査 | 約500円 | 約1,500円 |
料金は概算です。